2023年を振り返る 注目トピック8選 ①エックスアルプス

11日間の熱狂!Red Bull X-Alps 2023

Red Bullエックスアルプス2023は、間違いなく過去数年の中でもっともエキサイティングなレースであり、また多くの新記録が達成されることとなった。

Photo: Reed Bull Content Pool

ヨーロッパアルプスを舞台に繰り広げられる、世界でもっとも過酷なアドベンチャーレース、レッドブル エックスアルプス。2003年の第1回大会以降2年に1度開催され、今年は記念すべき20回目の開催。直線距離1223km、ターンポイント15カ所という過去最高難度と言っても過言ではないルートが設定され、世界中から選ばれた、女性4名を含む35名のトップアスリートがこの2週間のレースに挑んだ。

レーススタートから約1週間にわたって素晴らしい気象条件に恵まれ、アスリートたちは存分にその実力を発揮し、連日ビッグフライトで突き進んだ。今年のレースのハイライトとして、Red Bullは次の6つの瞬間を挙げている。

① エリ・エガー、女性アスリートとして史上初の完走者に。
② クリーゲル・マウラー、史上初の8連覇達成。
③ ダミアン・ラカス、X-Alps史上最長の11時間フライト。
④ ジェームス・エリオット、カナダ人アスリートとして初完走。
⑤ ポール・グシュバウワー、1日で13位から3位まで捲くるも13位で終了。
⑥ 史上最多!23名のアスリートがレース完走。

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8連覇を達成した絶対王者クリーゲル・マウラー(中央)。フランスのマキシム・ピノが2位(右)、3位は同じくフランスのダミアン・ラカス(左)。Photo: Reed Bull Content Pool

初の女性完走者として歴史に名を刻んだエリ(左から2番め)。小柄な彼女のフライトにはどうしてもバラストが必要。ハイク時はサポーターが交代でバラストを運んだ。Photo: Red Bull Contents Pool

日本の江本悠滋、見事完走!

日本から今回ただ1人参加した江本悠滋(当時46歳)が、レース最終日に見事ゴールのツェル・アム・ゼーの湖に浮かぶフロートに降り立った。

江本はパラグライダー歴10年。国際山岳ガイド資格を有する山のエキスパートで、また過去にはスキーでオリンピックを目指した時期も。エックスアルプスはパラグライダーを始めた当初からの目標であり、今回3回めのエントリーにして出場権を勝ち取った。

遠征費用は「Team Japan EMOTOメンバー募集」としてクラウドファンディングを利用した。開始4時間で第1目標の350万円を達成し、最終的に支援総額は924万2000円に。「今回参加でき、良い経験を積めたのはTEAM JAPAN EMOTOのみなさまのお力添えのお陰です。本当にありがとうございました!」と江本は支援者に感謝のメッセージを残している。

なお、これまで日本からエックスアルプスに参加したアスリートは、江本を含めて以下の5名。しかし2007年に5位でモナコに降り立った扇澤以来、ゴールにたどり着いた日本人アスリートはいなかった。気象条件にも後押しされ、江本は実に16年ぶりの大快挙を達成した。

扇澤郁(2007年、2009年、2011年、2013年、2019年、2021年)
松原正幸(2009年、2011年)
只野正一郎(2013年)
小熊健(2021年)
江本悠滋(2023年)

フロートにランディング後、そのまま倒れ込みゴールの感動を噛み締める江本悠滋。Photo: Red Bull Contents Pool

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