アーロン悲願の初優勝!RedBullエックスアルプス2025

レース8日目のデッドヒートを制し、ついに王者交代!

2025年6月、アルプス山脈全域を舞台に繰り広げられた世界最難関のアドベンチャーレース「Red Bull X-Alps」で、イタリアのアーロン・デュロガティがついに頂点に立った。過去8大会連続優勝という圧倒的な記録を持つ“絶対王者”クリーゲル・マウラー(スイス)を抑えての初タイトル。エックスアルプス史に残る歴史的快挙であり、王者交代を告げる瞬間となった。

Photo: Sebastian Marko / Red Bull Content Pool

熾烈を極めた4人の死闘

6月22日(レース8日目)はかつてない緊張感に包まれた。朝の時点でトップ4名──アーロン・デュロガティ(イタリア)、ラース・メールステッター(スイス)、シモン・オーバーラウナー(オーストリア)、そしてクリーゲル・マウラー(スイス)が、ツェル・アム・ゼーのゴールを目前に数十kmの僅差で並んでいた。フライト条件は良く今日中にゴールが見込まれるが、誰が勝ってもおかしくない状況であった。

4人は早朝から一斉にテイクオフし、交錯するルートと条件変化の中で激しい駆け引きを展開。
13時、アーロンはTP14に最初に到着したが、この時点でのリードはほんのわずか。クリーゲル、シモン、ラースはすぐ後ろに迫っていた。

約1000mハイクアップしテイクオフした後、アーロンはインスブルック空港周辺の空域の北側を通り、ゴールへの直行ルートを選択。他の3選手が南側へのルートを選択する中、アーロンは1人で見事なフライトを見せ、午後半ばにはライバルたちに30kmの差をつけていた。

アーロンがゴールまで残り50kmを切ったあたりから3選手のペースがまたさらに上がり、一時はアーロンとの差を10km以下にまで詰める。まさかの逆転劇があるかとも思われたが、そこは百戦錬磨のアーロン、追いつかせるような隙は見せなかった。

高度3500mから最終TPへのファイナルグライドするアーロンと、それを追う3選手のログ。

19時24分、最終TP15にトップランディングを決め、勝利を確定させたアーロン。そこから再びテイクオフして空からツェル・アム・ゼーに到達し、湖に浮かぶフロートに歓喜のランディングを決めた。

Photo: Sebastian Marko / Red Bull Content Pool

2位に入ったのはスイスのルーキー、ラース・メールステッター、3位にシモン・オーバーラウナー(オーストリア)、クリーゲルは表彰台を逃し、4位でレースを終えた。

連勝記録は「8回」でストップ。16年振りに王座を譲った彼は、アーロンについて「彼はとにかく速すぎた」とコメントしている。

アーロン・デュロガッティは、長年にわたりエックスアルプスに挑み続け、幾多の怪我や挫折――膝を故障した際には、医学療法士に「あなたは二度ともとのようには歩けない」と言われたことすらあったという――を乗り越え、ようやく頂点に立った。

レースはまだまだ続いている。トップ4人がツェル・アム・ゼーでゴールの余韻を堪能しているこの夜、7名のアスリートがナイトパスを使って勝負に出ている。

RedBullエックスアルプス2025、最後まで目が離せない。

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