RedBullエックスアルプス2025開幕!

過酷な挑戦が再び始まる!
「Red Bull X-Alps 2025」本戦、間もなく開幕!

パラグライダーとハイクを融合させた世界でもっとも過酷なアドベンチャーレース、「Red Bull X-Alps 2025」が、いよいよ開幕を迎える。選ばれしアスリートたちが、ヨーロッパアルプスを舞台に、徒歩とパラグライダーでのフライトのみで1,200km以上のルートを駆け抜けるこのイベントは、ただの競技を超えた、極限への挑戦だ。

13日にレースの前哨戦となるプロローグレースが開催され、マキシム・ピノが勝利。2日間の休息を挟み、本レースは15日(日)の午前11時半にスタートとなる。

エックスアルプスレースとは?

RedBull X-Alpsは2003年に始まり、2年に1度開催される究極のアドベンチャーレース。出場アスリート33名(※)はGPSで定められた16か所のターンポイントを通過しながら、オーストリア・キッツビュールからオーストリア・ツェル湖畔のゴールまで、パラグライダーで飛行し、歩いて移動する。サポートチームは1名のみ。天候、地形、戦略、そして肉体と精神の限界がすべてを左右する。

※2025年は当初35名が出場権利を得ていたが、2名がスタート前に棄権を表明した。

2025年大会の注目ポイント

今年の大会では、全体ルートが過去最長となり、技術だけでなく持久力、そして精神力も一層問われる内容となっている。さらに、昨年の「エックスピレネー」や「ボードエアレース」などで頭角を現した新星アスリートたちが多数出場し、世代交代の兆しも見られる。クリーゲル・マウラーがさらに連勝記録を更新するのか、はたまた新しいチャンピオンが誕生するのか? 強豪ベテラン勢と若手の直接対決にも注目したい。

ルート概要

今年のルートにはいくつか新しく斬新な変更が加えられた。その1つが、選手が2回通過しなければならないXターンポイントだ。
ルートの総距離は史上最長の1,283km。これは昨年よりも約60 km長く、標高差と地形の変化を考慮すれば、その負荷は単純な数字以上だ。選手にとっては、耐久性と計画性がさらに問われる構成となっている。

新要素「Xターンポイント」──戦略性が倍増

最大の変更点は、ルート中央部に導入されたX型のクロス構造ターンポイントだ。これは、スイスのサン・モリッツを中心とした交差型のレイアウトで、選手はこの地点を往路と復路の両方で通過する必要がある。

このXターンポイントの導入により、ルートは単純な東西移動ではなくなった。スタートから南下した後、西方のフランス・レ・ドゥ・アルプへ到達し、再びサン・モリッツに戻ってから北東へと抜ける複雑な折り返し構造になっている。この変更は、風向・時間帯・地形のすべてを再考させる設計であり、これまでにないレベルの戦略性を要求する。

新設ポイントと削除ポイント

例年おなじみだったイタリアの「モナコ」や、スイス西部の「フィエンツ」などはいずれも今回ルートから外され、代わりに「レ・ドゥ・アルプ(フランス)」「ベルリンツォーナ(スイス)」「アスコナ=ロカルノ(スイス)」といった新たな都市・山岳が組み込まれている。とりわけレ・ドゥ・アルプは、今回のコースで最西端に位置し、ゴールからもっとも離れたターンポイントとなっている。

また、ターンポイント数も14から16へと増加。単なる距離の延長ではなく、通過義務地点が増えたことで、判断ミスや読み違いのリスクも比例して増す。

平地の移動セクションの増加

さらに特徴的なのは、アルプス山系を外れた「アスコナ=ロカルノ」などのフラットランド区間が導入された点だ。これまでの山岳地中心の構成から一歩踏み出し、平野移動と飛行のバランスを試される。

今年のルートは単に「長く、険しい」だけでなく、構造的に複雑化したルート設定となっている。選手たちはこれまで以上に「どこで歩くか、どこで飛ぶか」という判断を迫られ、それが順位を左右することとなるだろう。

注目のアスリートたち

クリスチャン・マウラー(スイス)

エックスアルプス最多優勝を誇る“空の皇帝”。年齢的にはベテランの域に入りつつあるが、その戦略眼とコンディション管理能力は未だ群を抜いており、今回も優勝候補筆頭だ。

マキシム・ピノ(フランス)

2025年プロローグレース優勝。欧州&世界パラグライディング王者で、勢いに乗る注目アスリート。

パトリック・フォン・カーネル(スイス)

2021年大会2位。安定の飛行技術&判断力で上位を狙う実力派。

ジュール・カシュー(フランス)

地元フランスを通るルートで、ホームアドバンテージが活きるか。近年のレースで一気に頭角を現した若手で、積極的な飛行が持ち味。

セリーヌ・ローレンツ(ドイツ)

今大会唯一の女性出場者。前回の2023年ではスタート数日前に足首を捻挫。痛みを抱えながらレースを継続したが、約500 km地点でリタイアに。しかし怪我を押してのパフォーマンス、痛みに耐えて走り続けたその精神力は、多くのファンの心を打った。

熱戦の幕開け
X-Alps2025プロローグレース

気温が上がり始めるオーストリア・キッツビュール郊外にて、6月12日11時にスタートしたプロローグレース。アルプス横断の序章として、選手たちの「走る」「飛ぶ」「駆け上がる」が凝縮された37km、8ターンポイントのコースが展開された。

11時ちょうど、選手33名(男性32名・女性1名)が一斉にスタート。多くの選手が体力温存を意識しつつも、一部の選手は序盤から全開モードで先行する。

プロローグレースのスタート。Photo: Sebastian Marko Red Bull Content Pool

ガイシュベルグでは早々と機体をセットしてフライトへ。だが、空域のコンディションは非常にトリッキーで、数名が一時的に着陸や再登攀を余儀なくされる波乱含みの幕開けとなった。

マキシム・ピノ(FRA2)はここで早くもリード。効率の良い飛びと最短ルート選択を武器に他を引き離しつつターンポイントを回る。また、ティム・アロンギ(FRA3)もフライトにおける判断力を発揮し追走。横風や乱流を巧みに回避して進んでいく。

終盤、丘を越えてキッツビューエルの街へ向かう区間で激しい競り合いが繰り広げられ、観客も興奮の中、折り返し点へ。

マキシム・ピノ(スイス)が3時間48分01秒でフィニッシュ。2位はティム・アロンジ(フランス・3時間50分33秒)。当初3位だったラース・メアステッター(スイス)は、ゴール直前でサポーターが彼のパラグライダーを持って走るというルール違反を犯したため、1時間のペナルティが加算。これにより3位はシェーン・ティー(オーストラリア・4時間00分39秒)となった。

プロローグレースで勝利を収めたマキシム・ピノ。Photo: Lukas Pilz Red Bull Content Pool

このプロローグで上位3名には、追加のナイトパスが与えられた。また、レース2日目は、2位以下のアスリートたちはトップゴールしたマキシムとの時間差分だけ遅れてのスタートとなる。

本レースは6月15日、現地時間の午前11時30分(日本時間の18時30分)にスタート。プロローグでの勢いをそのままに、頂点を目指す戦いに期待が高まる!

観戦はこちらから

ライブトラッキング観戦(RedBull X-Alps公式サイト)
https://www.redbullxalps.com/

RedBull X-Alps YouTube公式チャンネル
https://www.redbull.com/int-en/events/red-bull-x-alps

RedBull X-Alps SNS公式アカウント
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