2025年8月31日から9月12日まで、ブラジル・エスピリトサント州カステロで開催された、第19回FAIパラグライディング世界選手権が閉幕した。総勢128名の選手が52か国から参戦。
激戦の末、平木啓子選手が見事女子3位で入賞し、銅メダルを獲得した!
ハイレベルの女子戦線
女子優勝はフランスのコンスタンス・メッテタル選手、2位はアメリカのアレクシア・フィッシャー。4位はエックスアルプスで唯一ゴールを果たした女子アスリートでもあるオーストリアのエリザベス・エッガー、5位はイタリアのベテラン選手のシルビア・アンジェラ・ブッジ・フェラーリと、錚々たる実力選手が並ぶ。
ミスが許されないハイレベルなレースが連日繰り広げられる中、平木選手は一時は15位まで順位を落とすなど苦戦を強いられていた。しかしタスク7で総合28位、女子2位という好順位でゴールを決め、暫定女子3位に急浮上。最終タスクではリードガーグルで順調に駒を進めていたが、急に強くなったバレーウィンドの影響でこの集団の大多数がゴール手前数kmで降ってしまい、平木選手も無念のランディング。それでも前日までのリードを守りきって表彰台を獲得したのだった。
平木選手は、次のようにコメントを寄せてくれた。
「準備不足や天候不順とあいまって、なかなか良いリズムに持っていけず序盤は苦戦しましたが、レストデイを挟んだ後半戦は尻上がりに調子を取り戻すことができ、辛うじてではありますが、女子3位で表彰台に上がることができました! 応援ありがとうございました!!」

女子表彰。平木選手、おめでとうございます!
国別では日本は20位でフィニッシュ
岩﨑拓夫選手、小林大晃選手も最後まで粘りを見せた。特にゴール者がわずか28名の最終タスクでは2人揃って執念のゴールを決め、総合順位を上げて大会を終えた。
国別37位からスタートと前半戦で出遅れはしたものの、大会中盤からは徐々に本来の調子を取り戻し、最終的には20位まで順位を上げることができた。この追い上げのプロセスそのものが今後につながる貴重な経験となったことだろう。

最終タスクで執念のゴールを決めた小林選手(左)と岩﨑選手(右)。
今回もフランスの圧勝!
世代交代の兆しも
個人総合では、フランスのバティスト・ランバートが初優勝。2位にフランスのオノラン・アマール。3位にはスペインのマルセロ・サンチョス・ヴィルチェスが入った。

総合表彰。左から2位オノラン(フランス)、優勝バティスト(フランス)、3位マルセロ(スペイン)。
国別では、フランスがまた当然のように優勝。2位はスペイン、3位がイタリアという結果に。

国別表彰。左から、2位スペイン、優勝フランス、3位イタリア。
新・世界チャンピオンのバティストは1996年生まれの29歳、3位のマルセロは昨年開催された第1回ジュニア世界選手権で優勝したわずか23歳。女子優勝のコンスタンスもまた、現ジュニア女子世界チャンピオンの25歳。
今回も圧倒的な強さを見せつけたフランスチームは、準優勝のオノラン・アマール、4位入賞のジュリアン・ヴァーツといったベテラン選手もいるが、確実に世代交代も進んでいる。
世界選手権における日本代表チームの過去最高位は、2019年のマケドニアでの銅メダル。個人でも廣川靖晃選手が総合7位入賞を果たしたこの時と比較すると、今回の結果は、世界トップの国々と比べてまだ追いつけていない部分が見えるのも確かである。
その差を縮めるには、さらなるステップアップが求められる。国内での大会に加え、海外大会での経験を増やすこと、そして若手パイロットの育成が鍵となるのではないだろうか。
日本が再び国別でより高い順位に返り咲くためにも、今回の教訓を活かし、より強い代表チームとなるよう期待したい。
最後に、今回の世界選手権で日本代表チームが示した粘りと闘志に、そして何より、長い大会日程を最後まで無事に戦いきったことに、大きな拍手を送りたい。