【大会レポート】Jリーグ第1戦・2024スカイグランプリin足尾

2024 Sky grand prix in ASHIO
開催日:3月30~31日 開催エリア:nasa足尾山エリア

Report & Photo: JHFパラグライディング競技委員会
Title Photo: 中村浩希

2024-03-30 Day1
Race to Goal 31.0km

待ちに待ったジャパンリーグ2024シーズンが、茨城県はnasa足尾山エリアから始まった。
3月23~24日開催される予定だった紀ノ川が延期となったため、昨年の朝霧での最終戦から4か月半のオフシーズンを経て、今大会がシーズン初戦である。

初日土曜日は、西風強風のち海からの東風強風に変わる予報。中部山岳地帯からのウェーブに入るとの話もある中、組まれたタスクは、風の変わり目を上手く利用し、猿公園手前14時スタート→風車北側→猿公園手前→難台→ハングランゴールの30kmショートタスク。
ゲートオープン後しばらくは渋く、降ってしまう選手もチラホラと発生。しかし、スタート約30分前から1700mの高度制限を気にしなければならないほど、空気が一変する。

スタートすると上がり下がりが激しく、まさにシーソーゲームの様相。機体の性能差よりもコース取りの方が重要となり、CCCクラスの前をCクラスが飛ぶ場面が何度も見られた。そんな中でも地元の荒井や多賀、平木、中村、山下らの引っ張りが目立つ。

この辺りからウェーブを感じさせる強烈な上昇帯に苦しめられる選手が続出してくる。北東と南西強風のコンバージェンスが到来と思われるが、至る所でスパイラルや翼端折りが見られる。ただの強烈なサーマルと違うのは、どこまで飛んでもシンクが無く、永遠とも思えるほどの強烈な上昇帯が続くのである。

レースを決定付けたのは、難台に向かう前、この強烈な上昇帯を上手く味方に付けた小林、花田の見切りだ。すぐ後ろに平木、石井亜希子、スポーツクラスの杉山も続く。
小林が後半の15kmをフルアクセルでまったく高度を落とすことなくそのままトップゴールを切り、見事タスクトップを獲得。1分30秒後に花田が入り、隅、竹尾、荒井と続く。6番手には、並みいるオープンクラスを相手にスポーツクラスで杉山が入る。お見事。

2024-03-31 Day2
Race to Goal 42.0km

前日よりも風が強くなる予報も出ており、引き続き激しいコンディションが予想される。
足尾付近は夕方に10m/s以上の東風予報も出ているので、早めの12時30分スタート、3kmほど南へ振って北の芳賀ゴールの42kmタスク。強風が押し寄せる前に降りる作戦だ。

ゲートオープンするが、前日にも増して風が強く、さらに上がらない。風に向いて止まる場面もあったが、徐々に風も弱まりスタート30分前ほどになるとタスクを回れそうなコンディションとなる。

スタートは、ほぼ全員が1000mほどのサーマルトップから同時に切る。最初の南のシリンダーを取り稜線下からの上げ直しに苦労するが、小林が1人抜け出し独走状態に入る。
だが、この先のフラットランドで降るリスクを警戒した小林は、十分にリードポイントを稼いだ後、ペースを落とし富谷山で集団と合流するが、この辺りは西風強風が吹き抜けており、ここで何人かが地上の人となる。本日の鬼門であっただろう。

富谷山の石切場ボール内の強烈なサーマルで小林が上げ始めると、そこに多賀が合流、すぐ後に平木、青木、竹尾も合流する。ここで1600mまで上げるが、上空は向かい風が7m/sほども吹いており、進みが非常に悪い。

ここで、伏兵岩﨑が地を這うように低く、誰にもマークされること無く駒を進める。まさしくサブマリン! 下層は南風で非常に効率良く進む。
上空1600mの小林、多賀、平木 VS 低空岩崎のファイナルグライド対決という構図となるが、勝敗は果たして?

ESSを最初に切ったのは多賀だった。6秒差で岩崎、平木、小林と続く。しかしタスクトップはリードポイントを稼いだ小林の手に。初日と2日目、両日ともタスクトップを取った小林が完全優勝を決めた。

2日間とも激しいコンディションではあったが、大きな怪我もなく大量ゴールとなった今大会。精度の高い気象予測と豊富な経験に裏打ちされたタスク、非常に円滑な運営、回収のおかげで大変素晴らしい大会となった。

大会結果

総合

順位 氏名 使用機体 得点
1位 小林 大晃 Ozone Enzo3 S 1950
2位 岩﨑 拓夫 Ozone Enzo3 S 1772
3位 多賀 純一 Ozone Enzo3 S 1741
4位 中村 浩希 Ozone Enzo3 M 1725
5️位 竹尾 雅行 Ozone Enzo3 M 1701
6位 入山 朋一 Ozone Zeno2 M 1696
6位 橋本 耕一 Ozone Enzo3 S 1696
8️位 山下 敦子 Ozone Enzo3 S 1639
9位 隅 秀敏 Ozone Zeno2 ML 1623
10位 長島 信一 AirDesign Volt5 S 1592
女子

1位 山下 敦子 Ozone Enzo3 S 1639
2位 中目 みどり Ozone Zeno2 MS 1268
3位 早坂 真有美 Ozone Zeno2 S 1041
スポーツクラス

1位 長島 信一 AirDesign Volt5 S 1592
2位 梅迫 賢一 Drift Merlin M 1403
3位 田幡 祐基 Niviuk ArtikR 25 1158
4位 小林 敦之 Ozone Photon ML 1140
5位 川地 正孝 Ozone M7 ML 1001
6️位 東 智子 Ozone Photon XS 978

関連リンク:2024 Sky grand prix in ASHIO(JHFパラグライディング競技委員会)(大会結果もこちらに)

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