【連載】花田瞬のテストパイロット日記 #3

第3回
テストパイロットが上手くなる理由

コープクンカップ。アキュラシーのアジア選手権のためにタイに来ています、テストパイロットのハナダシュンです。この原稿を書いている現在は大会前の練習中ですが、日本はまだ少し寒い時期が続きそうですね。

中国では日が落ちても練習してました。

さて、少し更新が遅くなってしまい申し訳ありません。
2ヶ月ほど日本にいながらBGDの仕事をしていたのですが、どちらかと言うとテストよりデザイン関係の仕事ばかりをしていたので、ここ2か月の出来事を書いてもテストパイロットの日常系としてリアルじゃない感があり、何について書こうかなと考えていました。

そこで今回は、インスタでテストパイロットについて気になることは? という質問をした中でお寄せいただいたご質問に答えていこうと思います。

一時帰国中、丹波でのフライト。

質問1.
日々どんなテストをしているの?
テストパイロットが上手くなる理由と、
一般のパイロットとの違いは?

僕自身もパラグライダーを始めた時や、大会に出ていた際には同じことを考えていましたし、実際に大会で優勝する選手はテストパイロットが多いです。もう1つのケースとしては、お金持ちで時間もたくさんある社長さんだったなと思います。

ズバリ、日々どんなテストしているかと言いますと、すべてですね。

もちろんそのグライダーのコンセプトなどに合わせてテストする内容配分は違いますが、どのグライダーであっても、グライドテストもEN用テストもすべて行います。

なので、スピードバーを踏み千切ってコラップスやストールをする回数も時間も、通常のパイロットに比べて必然的に多くなるので、テストパイロットは自然と限界をたくさん知ることになります。
これが通常のパイロットとテストパイロットの1番の違いだと感じています。そして”上手くなる”というイメージも、ここから来ているのだと思います。

EN認証テスト用のフライト時は、僕たちは操作をすることは一切許されません。体重移動でさえもです。常にパイロットとグライダーの動きが確認できるようにカメラをつけて撮影します。
たとえ地上から見ていて問題がなかった(操作が行われるのが見えなかった)としても、カメラで確認して操作が行われていると、また再テストになってしまいます。

例えばフルスピードでのコラップスのテストでは、グライダーを大きく潰し、そして動きを先読みしなくてはいけません。
コラップスにも良し悪しがあり、認証の角度とサイズに合わせる必要がありますが、もし大きく動作するときにまったく操作しないと、簡単に落ちてしまえると思います。
コラップスを見て感じながら、操作するべきかしないべきかの判断をしなくてはいけません。
そこがグライダーの操作の限界を知ることなのかなと感じますし、テストパイロットが上手くなれる最大の理由の1つかなと思います。

質問2.
新しいグライダーを作る流れについて教えてください。

もちろん各メーカーによって違うことばかりだと思いますが、僕が知ってる数社を軸に簡単に紹介します。

流れは、簡単に説明すると以下のようになります。

① グライダーのコンセプトを決める
② グライダー設計ソフトでグライダーを作成。
③ シミュレーションソフトでグライダーがどんな状態でも問題がないかチェック。問題があれば②に戻る
④ 標準サイズのプロトタイプの作成
⑤ テストフライト、すべてに十分でなければ②に戻る
⑥ 認証メーカーに送り認証テストを通す
⑦ 各サイズの作成。②からを繰り返す
⑧ 認証用の事務仕事で認証完了
⑨ 販売開始

この流れの中で、並行してロードテストという強度テストのようなものを1番大きいサイズを使用して行う必要があります。

何機を同時にテストするかはテストパイロットの人数によって決まりますが、大体はこの流れを、グライダーによって1~4年かけて行います。
ちなみにコンペ機などのハイパフォーマンス機は、もっと長いスパンで完璧になるまで時間をかけます。

この流れの中でも②と④はかなり時間がかかり、最初から数えると100以上の変更をすることもザラです。
常にレポートを書き合って共有しているので、みんなで話し合いながらより良いものを作れるように努力しています。

ミシンも使えます!

他にもいくつか質問をいただいていますが、今回はここまでにさせてください。

残りの質問についても1つずつでも答えていきますが、次回はよく要望のある、テストパイロットの1日についてご紹介しようと思っています。

大会終了後は、またスリランカの工場に行って、その後フランスに帰ります。ではまた!

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